NHKスペシャル「無縁社会 新たな“つながり”を求めて」を見て その1

東洋水産R-1ぐらんぷりが放送され、ドラえもん映画が放送された建国記念の日のゴールデンタイムだったが、迷わず「無縁社会」を見てしまった。
大筋では理解できたが、細かいところでは突っ込みどころ多数。

無縁社会」を主語にした番組なので仕方ないのだが、日本の国力が落ちつつあることに伴う賃金低下や労働に対する待遇劣化、失業率の増加などがスパイラルになって、
弱いところに「無縁社会」を押し付けた結果をビミョーにサンプリングしたのがこの番組だったと理解できた次第。

いろいろ書いていたら、長くなりすぎてしまったので、何項かに分けて掲載します。







【あらすじ】
(1)序章
(2)留守番電話や手紙のフォロー
(3)10代にも広がる無縁社会
(4)24時間365日インターネットでつながる
(5)「働く」という“つながり”
(6)生きるための“つながり”

(1)序章
NHKの留守番電話には、14000件の留守番電話が入った。
新宿の大ガード西側から歌舞伎町方向を写した映像、雪が舞う中の街灯、2010年1月31日放送の79歳(当時)女性の名古屋マンションでの一人暮らし映像…
と留守番電話の再生音がシンクロしながら。
20代から50代までの留守番電話は、序章からフォロー映像まで合わせて8件が紹介された。

そんな中、自殺者が書き残したと思われるメモが映された。

お手数掛けます。
私は天涯孤独の
身で上であります。

(2)留守番電話や手紙のフォロー
3人の例が挙げられていた。
だが、ちょっと待てよといいたい。
無縁社会」を主語にして取り上げていたが、その根本原因は平成初期・90年代前半のバブル崩壊後に雇用の質が悪化して、賃下げ・雇用の質低下が起きたせいじゃないか。
無縁社会」は国力低下が及ぼした結果じゃないか。

2-1 仕事にも未来にもやりがいを感じていない
真田尚子氏(38歳、独身)デパート子供服売り場の契約社員
  • 大卒後メーカーの正社員に就いたものの業績悪化により失業。その後は契約社員で短期の仕事ばかり…

  • 彼女には「無縁社会」とは「職の縁がない」こと。

  • このまま老後になったらどうしようか…


2-2 父と団地に二人暮らし、父が死んだ後は一人暮らし
中村正志氏(49歳、独身)
  • 親子2人で看板を作る店を営んでいた

  • その後、父親の介護に追われた

  • 父親が亡くなり、一人暮らしに

  • NHKには衝動で電話を掛けた

  • 「一人暮らしは初めてでしょ。ほとんど人と接触することもなかった。初めて身に染みましたね。話し相手がいないのがこんなにつらいことだって」

  • 話し相手が誰もいないのがさびしい。


2-3 「孤独死」か「事故死」しかないと、ワープロ打ちしたものを封書で
吉沢雅之氏(39、独身)
新潟出身、上京してから20年余り一人暮らし。(高卒か、高卒で専門学校を出てから上京?)
機械メーカーに就職も失業、その後はハケンで首都圏各地を転々。
生い立ちも厳しい。生まれてすぐに親が離婚、幼い頃の写真は1枚(1歳児)しかない。連絡を取る親族がいないので、育ててくれた祖母が死んだ後は孤立無援。東京に友人はなく、新潟にも帰る場所はない。
4年前に体を壊し、仕事ができない。
人生を終わりにしたいと、駅のホームに何時間も立ち尽くしたことも。
「もし孤独死してしまっても知らないうちに葬られてしまう。身元不明の死者として逝ってしまうのはどうかなと思って、お便りしたんですよ」

昨年(2010年なのか、2009年かは不明)同じ団地で、50代独身女性が孤独死している。自分もそうなるんじゃないかと…

『私の死後は、もし叶うなら、生まれて育った新潟の海に散骨してほしい』

これではいかんと、近所の掃除を始めたものの、誰にも声はかけられなかった。

だが、子供はそうではなかった。
そこで、自室でカブトムシの幼虫を育て、近くの小学校に持って行ったら喜ばれた。
子供たちに送ってもらったお礼文や似顔絵に、かすかな喜びがあった…って映像構成で締めていた。
「手紙を拝見して、ほんとに独りじゃないなって思いましたね。つくづく思いました」と。

2-4 この項の締め
「単身化」「非正規労働化」「生涯未婚の増加」の3つにまとめていた。
だがねぇ、一般論では正しいんですが、例外やミスリードが余りにもあり過ぎる。
30代・40代の生涯未婚の増加は、「非正規労働化」というより、生活コストに対する所得が「結婚適齢期」に減ってしまって踏み切れない/門前払いを食わされた人が大量に発生したのが主因だ。
20代も同じ。10代も、まだ一桁年齢の子供も、これから着床する胎児にも当てはまる話だ。
真田さん、吉沢さんはそんな流れの犠牲者のほんの一部でしかない。
それから、例えが悪いが新宿2丁目のおかまバーのオネエサマみたいな人には、「結婚を強要されない」ことがプラスに働くんですから。

(3)10代にも広がる無縁社会
この項は、「無縁社会」と取り上げる番組なのでこういった扱いになっていたが、実際のところは平成初期・90年代前半のバブル崩壊後に伴う、親世代の所得低下に、自分自身に降りかかる雇用環境劣化が合わさった結果じゃないか。
20-50代の現役世代ばかりか10代にも、国力低下が「無縁社会」の結果にも結びついている。

3-1 16歳女性のメール
「番組を見て何年後かには自分にも十分起こりうるんだと実感しました」

3-2 19歳男性フリーターのメール
「フリーターです。誰とも全く会話がありません。精神的にもかなり不安定だと感じています」

3-3 ちとせさん(19)の映像
彼女が卒業した横浜市立戸塚高等学校定時制の話と、卒業後に身を置く支援団体・K2インターナショナルグループ(根岸線根岸駅前)の話を含めて。

出だしでは、横浜を象徴する映像として、ベイブリッジを走る車から、ランドマークタワーやインターコンチネンタルホテル、大桟橋などを映すものが流されていた。
その後、就職できなかった者が集まる支援団体の映像へ。
この序章が終わった後本題へ。

【高校のお話】
ちとせは、高校在学中のとき両親の離婚トラブルがあって、家に居づらくなった。
高校が居場所だったが、就職先が見つからず、家にいるわけにもいかず、支援団体へ。寮で暮らす。

  • 戸塚高校定時制は1年生-4年生で400人、親の離婚や失業などで、学校しかいるものが少なくない。

  • ある女子生徒(≠ちとせ)は、母子家庭で親と妹のために働かないと暮らしていない。伊達マスクで鼻から下を隠した女子高生が、やっとこさパチンコ屋に内定したって箇所があった。
    だが、就職に至れるものはわずか。(ちとせの代では?)卒業生の半分以上は行先がない。
    それどころか、卒業にたどり着けないもの多数。


そこにインポーズの形で、中退にに追い込まれた男子の話が。

その男子の父親はハケンの身。その所得レベルからか、自身が専門学校に行きたいことも言い出せず、やがて学校に通う意味が見いだせなくなり、出席日数が不足して呼び出しを食い、教室で目の前に退学届の記入用紙を突き付けられた。結局退学届を出し退学。
男子は廊下の壁に手をつき泣いていた。やりたいと思っていることがどんどん潰され、一縷の望みである高校卒業すら絶たれてしまったのですから。
「適当に仕事やって、そのまま暮らして、そんな感じ」なんてことを言っていたが、これは絶望の末の言葉であることは言うまでもない。

【支援団体の話】
ちとせが住んでいる支援団体の話に。
支援団体がやっていることは、学校と社会を結びつける「就労支援」。
ちとせは、支援団体直営の食堂(にこまる食堂)で働いてもいる。職業訓練の形である。

「人との会話が楽しいって思えた」ちとせは言った。
支援施設で共同生活を送る仲間との絆も生まれていた。
この項の締めは、ちとせが成人式に出席するために晴れ着を着た映像だった。

地名は出てこなかったが、マンションが近くに並ぶ小さな川沿いでの映像だった。
素直に考えていけば、それから新横浜の横浜アリーナで行われる成人式に行って、あるいは成人式の帰り…となる。
だが、鎌倉市かもしれないし、藤沢市かもしれん。そのあたりについてまでは言及されていなかった。

この項の締めは、「学校にも行かず、仕事にも就いていないものが15-34歳の間で60万人」の一文。

言い換えれば、「15-34歳のニートが60万人」だ。

ちとせにまつわる映像は一見よくまとまっているのであるが、限定的に見なければならないお話と、一般化しないといけない話がごちゃ混ぜになっている。

○市立戸塚高校について
ここでの話はあくまで「定時制」限定であって、「全日制」にはほとんどあてはまらない。
戸塚高校全日制は偏差値55。大学進学者のボリュームゾーンは日東駒専、神奈川、関東学院、東海あたり。MARCHクラスは難しいって感じ。横浜国立大学、横浜市立大学はほとんど無理。(SFCでさえ)慶應義塾大学なんて奇跡に近い。
偏差値55あたりの高校では、もともと就職希望の者が含まれるものだ。そこに、親の経済事情で就職に回るものがいる事も想像できる。
それは普通に考えられることだが、偏差値55が底辺であるはずもないので、高卒での就職率がガタ落ち状況な昨今であっても、同校全日制の就職状況が定時制ほど酷いとは考えにくいのである。

定時制中退就職難について
これは、戸塚高校定時制だけの問題ではない。底辺校一般の問題だ。
底辺校では、中退率が高い問題、就職率も低いって問題に直面している。学力の問題から進学もままならない。そこに、親の貧困問題による初期教育投資の不足問題までが乗っかってきている形がある。

定時制は元来「働きながら高校卒業してもらおう」って意図で設立されたものだ。
しかし今では、基本的に全日制、単位制高校に受からなかった者の受け皿的位置付けとなってしまっている。少なくともここ30年間はその形だ。
定時制は全日制で受け入れられなかった者の受け皿ってことは、全日制底辺校と同列、それ以下じゃないかってことになってしまう。

要するに、戸塚高校定時制の就職率がよくないっていうのは、底辺校の生徒にまで仕事が回ってこない問題と同列に見なすしかない。
新卒でやっとこさパチンコ屋…レベルが低すぎる。






(その2に続く)
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