NHK『追跡!A to Z「無縁社会の衝撃」』を見て
さる1月31日に放送されたNHKスペシャルは大反響だったようだ。
反響の大きさは、ツイッターや2ちゃんねるでのカキコの膨大さで考えれば分かる。
31日の本放送ばかりか、2月2日深夜の再放送でも凄いものがあった。
今度はどうだったかについてはよくわからないが、前回のフォローに寄りがちだった内容になった上、一旦クローズに向かうような内容になってしまったためか、前回ほどのインパクトはなかった。
しかし、前回がディープインパクトだったので、通常ならばインパクトがある内容であることは間違いないものでした。
なお、きょうは2ちゃんねるが大規模書き込み規制になっているため、カキコが可能な人が少なくなっていたことはお断りしておきます。
【2ちゃんねるのカキコ規制が3日に掛かっていたところの一部】
SO-NET、ぷらら、DION、ODN、HI-HO、NIFTY、BIGLOBE、OCN、YahooBB
きょうのターゲットは30代。それはいいのだが、1/31のNスペを意識しすぎた構成になっていたので、問題がちょっと散漫になってしまった気もした。
番組を通じて耳にしたのは「人に迷惑を掛けないように…」「人に恥を晒さないように…」ってこと。迷惑の根源に怒りを向けることが許されない社会である一方、恥は見せない国民性のようなものも見て取れる形となった。
番組後半で内橋克人氏が言った『いくら努力しても成功できないのに、自己責任を求める社会構造』が、日本人の国民性も相まって「無縁社会」になってしまったんじゃないかと。
そんな結論になってしまった。
きょうのところは期初番組ってことで、ムリヤリこさえてしまった面は否めないが、このさきも取材を重ねて、今度は20代、30代、40代をターゲットにしたものがNHKスペシャルで放送されるものと考えられます。
【きょうのあらすじ】
(1)ネットで「つながり」を求める若い世代
前回の放送について、ツイッターで書き込んだ30代3人の今
(2)無縁ビジネス
(3)内橋克人氏のインタビュー
(1)“無縁死するかも”30代の叫び
1-1 IT関係に従事する小野寺力氏(34)独身
iPhoneでツイッターで「仕事がなくなったら無縁死だな」とつぶやいたら、反応がすぐに返ってきた。
1-2 契約ライターの丸子かおり氏(仮名、38)独身
下北沢在住。東京で一人暮らし15年。両親は電車で1時間ほどの埼玉県内に住むが、同居するつもりはない。
ロスジェネ世代が敏感になっている気がする。
35歳になると結婚市場で価値が急落する。
就職氷河期で苦労して非正規労働。
結局、自己責任。無縁死も選択肢のひとつだ。
1/31放送のNスペでは、未婚で死んだ男性の境遇に共感した。
丸子さんの弟は家庭を築いている。その弟家族に迷惑はかけられない。
これからも一人で生きていくつもり。
「ふつうの幸せすら考えられない」今の世の中なんだ。
1-3 SEの筒井隆次氏(35)独身
横浜市内の京急沿線に住む。高架で、区画がしっかりしていて、一人で暮らしても困らないようなところとなると鶴見か?
仕事がない北海道から出て3年前に出てきたが、人とのつながりがなく、ツイッターだけが頼り。
1/31放送のNスペでは、秋田から上京したものの帰京が叶わずに死んで行った人の境遇に共感した。
仕事以外では人に関わる機会もなく、食事はほとんど一人(画面では松屋だった)。
6畳一間のワンルームに暮らす。尋ねて来る者はいない。
過労とストレスでうつになり、休職となってしまった。
うつの治療薬らしきものが何種類か映された(種類は不明)。
故郷へ電話するのもためらうようになってしまった。
結婚でもしない限り無縁死になる
可能性は高いな
人がたずねてこないので、掃除もしなくなった。
部屋には9:16のパソコンディスプレイが電源が入っていた。
(2)無縁ビジネス
2-1 「話し相手サービス」なる有料サービスが生まれている。
ここには「ただ本音を聞いて欲しい」ってものばかりが掛かってくる。
電話件数は、去年から爆発的に増えたのだとか。
料金は10分1000円。利用者の世代は千差万別。月20万円使う人もいる。
このサービスを使う理由は「友達や家族に言うと心配しちゃうんじゃないか」だ。だから第三者にカネを払ってまで言っているって事になる。
2-2 共同墓
全国各地で建設ラッシュに。
子供がいても共同墓に入りたいと要望する人が増えている。
墓地には、手入れされない朽ち果てた墓が多数ある。墓に手間ひま掛けられないという意味だ。
共同墓を要望するのは、必ずしも墓を立てるより安価だからという訳ではない。
2-3 保証人ビジネス
日本ではアパートを借りるときに保証人が必要なので成り立つビジネス。
両親がいなくなると、兄弟とも疎遠になってしまうので、こちらを使うしかない事情もある。
「お金で済むんであれば」
新宿にある社員300人余りの大手では、契約件数が10万件余りある。年商は30億を超える。
毎月5人ぐらい孤独死し、遺品受け取り拒否のケースもある。
契約する70代男性が死んだ。家具、衣類などは保証会社が処分した。
この処分には「放棄書」にサインをした上で行う形だが、離れて暮らす息子に「放棄書」を送ったところ、サイン入りの放棄書が送られてきただけ。
家族がいてもあてにならない、そんな現実も露になってしまった。
(3)内橋克人氏へのインタビュー
無縁死が多数出るのは、社会構造に問題ありとしていた。
日本社会の将来像を先取りしていると言った。
自立を求めたが、与えられたのは孤立だった。
いくら努力しても成功できないのに、自己責任を求める社会構造。
そんな社会にいる者は、かつては自嘲的だったのに、いまではもっと酷くなっている。
「希薄な人間関係に放り込まれた」→「無縁ビジネスに放り込まれた」
「濃密な社会に戻るのが正論か?」→No. 封建的な血縁・地縁社会に戻れって言うのか?
評論家ゆえにうまいことを言おうとし過ぎている感があったが、当たっている。
(4)まとめ
キャスター・鎌田靖氏がまとめる。
話す内容そのものはいいとして、4-5分も話す形になってしまったのは失敗。
エピソードの部分を少し増やすだけで間延び感がなくなったので残念。
この項は以上です。
2010/04/04 01:07
反響の大きさは、ツイッターや2ちゃんねるでのカキコの膨大さで考えれば分かる。
31日の本放送ばかりか、2月2日深夜の再放送でも凄いものがあった。
今度はどうだったかについてはよくわからないが、前回のフォローに寄りがちだった内容になった上、一旦クローズに向かうような内容になってしまったためか、前回ほどのインパクトはなかった。
しかし、前回がディープインパクトだったので、通常ならばインパクトがある内容であることは間違いないものでした。
なお、きょうは2ちゃんねるが大規模書き込み規制になっているため、カキコが可能な人が少なくなっていたことはお断りしておきます。
【2ちゃんねるのカキコ規制が3日に掛かっていたところの一部】
SO-NET、ぷらら、DION、ODN、HI-HO、NIFTY、BIGLOBE、OCN、YahooBB
きょうのターゲットは30代。それはいいのだが、1/31のNスペを意識しすぎた構成になっていたので、問題がちょっと散漫になってしまった気もした。
番組を通じて耳にしたのは「人に迷惑を掛けないように…」「人に恥を晒さないように…」ってこと。迷惑の根源に怒りを向けることが許されない社会である一方、恥は見せない国民性のようなものも見て取れる形となった。
番組後半で内橋克人氏が言った『いくら努力しても成功できないのに、自己責任を求める社会構造』が、日本人の国民性も相まって「無縁社会」になってしまったんじゃないかと。
そんな結論になってしまった。
きょうのところは期初番組ってことで、ムリヤリこさえてしまった面は否めないが、このさきも取材を重ねて、今度は20代、30代、40代をターゲットにしたものがNHKスペシャルで放送されるものと考えられます。
【きょうのあらすじ】
(1)ネットで「つながり」を求める若い世代
前回の放送について、ツイッターで書き込んだ30代3人の今
(2)無縁ビジネス
(3)内橋克人氏のインタビュー
(1)“無縁死するかも”30代の叫び
1-1 IT関係に従事する小野寺力氏(34)独身
iPhoneでツイッターで「仕事がなくなったら無縁死だな」とつぶやいたら、反応がすぐに返ってきた。
1-2 契約ライターの丸子かおり氏(仮名、38)独身
下北沢在住。東京で一人暮らし15年。両親は電車で1時間ほどの埼玉県内に住むが、同居するつもりはない。
ロスジェネ世代が敏感になっている気がする。
35歳になると結婚市場で価値が急落する。
就職氷河期で苦労して非正規労働。
結局、自己責任。無縁死も選択肢のひとつだ。
1/31放送のNスペでは、未婚で死んだ男性の境遇に共感した。
丸子さんの弟は家庭を築いている。その弟家族に迷惑はかけられない。
これからも一人で生きていくつもり。
「ふつうの幸せすら考えられない」今の世の中なんだ。
1-3 SEの筒井隆次氏(35)独身
横浜市内の京急沿線に住む。高架で、区画がしっかりしていて、一人で暮らしても困らないようなところとなると鶴見か?
仕事がない北海道から出て3年前に出てきたが、人とのつながりがなく、ツイッターだけが頼り。
1/31放送のNスペでは、秋田から上京したものの帰京が叶わずに死んで行った人の境遇に共感した。
仕事以外では人に関わる機会もなく、食事はほとんど一人(画面では松屋だった)。
6畳一間のワンルームに暮らす。尋ねて来る者はいない。
過労とストレスでうつになり、休職となってしまった。
うつの治療薬らしきものが何種類か映された(種類は不明)。
故郷へ電話するのもためらうようになってしまった。
結婚でもしない限り無縁死になる
可能性は高いな
人がたずねてこないので、掃除もしなくなった。
部屋には9:16のパソコンディスプレイが電源が入っていた。
(2)無縁ビジネス
2-1 「話し相手サービス」なる有料サービスが生まれている。
ここには「ただ本音を聞いて欲しい」ってものばかりが掛かってくる。
電話件数は、去年から爆発的に増えたのだとか。
料金は10分1000円。利用者の世代は千差万別。月20万円使う人もいる。
このサービスを使う理由は「友達や家族に言うと心配しちゃうんじゃないか」だ。だから第三者にカネを払ってまで言っているって事になる。
2-2 共同墓
全国各地で建設ラッシュに。
子供がいても共同墓に入りたいと要望する人が増えている。
墓地には、手入れされない朽ち果てた墓が多数ある。墓に手間ひま掛けられないという意味だ。
共同墓を要望するのは、必ずしも墓を立てるより安価だからという訳ではない。
2-3 保証人ビジネス
日本ではアパートを借りるときに保証人が必要なので成り立つビジネス。
両親がいなくなると、兄弟とも疎遠になってしまうので、こちらを使うしかない事情もある。
「お金で済むんであれば」
新宿にある社員300人余りの大手では、契約件数が10万件余りある。年商は30億を超える。
毎月5人ぐらい孤独死し、遺品受け取り拒否のケースもある。
契約する70代男性が死んだ。家具、衣類などは保証会社が処分した。
この処分には「放棄書」にサインをした上で行う形だが、離れて暮らす息子に「放棄書」を送ったところ、サイン入りの放棄書が送られてきただけ。
家族がいてもあてにならない、そんな現実も露になってしまった。
(3)内橋克人氏へのインタビュー
無縁死が多数出るのは、社会構造に問題ありとしていた。
日本社会の将来像を先取りしていると言った。
自立を求めたが、与えられたのは孤立だった。
いくら努力しても成功できないのに、自己責任を求める社会構造。
そんな社会にいる者は、かつては自嘲的だったのに、いまではもっと酷くなっている。
「希薄な人間関係に放り込まれた」→「無縁ビジネスに放り込まれた」
「濃密な社会に戻るのが正論か?」→No. 封建的な血縁・地縁社会に戻れって言うのか?
評論家ゆえにうまいことを言おうとし過ぎている感があったが、当たっている。
(4)まとめ
キャスター・鎌田靖氏がまとめる。
話す内容そのものはいいとして、4-5分も話す形になってしまったのは失敗。
エピソードの部分を少し増やすだけで間延び感がなくなったので残念。
この項は以上です。
2010/04/04 01:07
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