マツダ無差別殺傷事件は、秋葉原のマネだった

きのうのマツダ無差別殺傷事件は衝撃的だった。
「一身上の都合」で4月14日に退社し…となっているが、これを鵜呑みにして記者会見を行った社長がバカに見えてきた。

先々の再就職妨害などを回避するため、怨念や怒りがあっても「一身上の都合」と書くのが常だからだ。





「犯人は、工業高校卒業後、マツダ関連の自動車部品製造会社に就職。1992年に退社した後は派遣社員として複数の会社で働いていたとみられる」と読売新聞で出されていた。

事件の内容はともかく、高校卒業後の経歴に、マツダへの怒りが脈々と刻まれているように思えてしまう。マツダに期間工として応募したのも、(マツダへの怒り以前に)食うために止む無く…と考えると、「マツダに恨みがあった」の供述が理解できてしまう。

42歳でどこかに雇ってもらおうとしても、薄給かブラック企業を除くとほとんど口がないのが現実。離れようと思ったら広島を後にするしかないが、広島を後にしても状況に大差はない。

犯人の引寺(ひきじ)利明がどうしてこうなったか…と考えると、本人の人間性に問題があったのは想像に難くないとはいえ、日本がシュリンクしていく中での犠牲者的な要素も考えざるを得ないのだ。

犯行は「秋葉原事件をまねた」と供述したようだが、犯人像は「元厚生事務次官宅連続襲撃事件」(2008/11)の小泉毅被告に近いと考えておいたほうがいいように思えてくる。引地や小泉のような境遇に置かれる者、この国に多数いるのが現実。海外だったらデモに陥りそうなのが、現代日本社会の情勢であるが、60年安保闘争で徒党を組ませないような社会にしてしまったせいで、この手の「単独テロ」がときどき起こされているんじゃないかと思わざるを得ない。

中国のEMS工場・富士康(iPad組み立てを行っているところ)やデンソーなどで労働争議状態に陥っている一方、日本では「単独テロ」が発生する。北朝鮮では国内でモノが言えないので、脱北して恨みを晴らす。社会の歪みは、その場の状況によって晴らし方はいろいろなのです。

ちなみに、明日はマツダの株主総会。会場の講堂は、きのうサーキット場にされてしまった敷地の中にある。なんということだ…。株主総会の案内では、総会終了後に「マツダミュージアムの見学会」と記されているが、こちらは当然中止となるだろう。縁起でもない。